◯これからの時代、翻訳者は必要か?
初回ジャーナルの自己紹介でお伝えしたとおり、私は普段は翻訳の仕事をしています。
最近では Google などの機械翻訳やポケトークなどの通訳機が普及するようになり、
翻訳者や通訳者の必要性に疑問が投げかけられていますね。
飽和状態と言われる翻訳の市場は今後どうなっていくのでしょうか?
今日は翻訳という職業について考え、
これまでの時代・そしてこれからの時代に英語を仕事として扱うイメージを皆さんに届けられたら嬉しいです。
最初に翻訳者の仕事について説明したいと思います。
皆さん、「翻訳」と聞くとどのような仕事内容を想像しますか?
まず、会話ではなく文書を媒体としているのは通訳者との大きな違いですね。
また翻訳のジャンルとしては、映画字幕などの映像翻訳や小説などの出版翻訳が思い浮かぶと思います。
映像翻訳も出版翻訳も大きな市場なのですが、
実は 8 割以上の翻訳者はクリエイティブなものよりも実務的な翻訳に携わっています。
製品の取扱説明書、特許の出願書類、プレゼン資料や仕様書などの
ビジネス文書全般を取り扱う産業翻訳と呼ばれる分野です。
参考までに私の仕事について少々言及すると、
産業翻訳の中でも自動車や電気など機械の基礎知識を使った翻訳を主にしています。
自動車メーカーや家電メーカーがお客様になるといえば皆さん想像しやすいでしょうか?
それではここで本題に入ります。
機械翻訳が発達したら翻訳者は要らなくなってしまうのか?
実際、 ここ数年の機械翻訳の精度の向上は著しく、
私も深層学習(大量のデータを保有・抽出・学習する 機械学習の一種)の威力を肌で感じています。
機械翻訳は翻訳者への脅威だと一般的には思われがちですが、実はそうではありません。
仕事の効率化やスピードアップのためにむしろ必要なツールだと捉えています。
機械翻訳と争うのではなく、それらのツールを駆使しながら仕事をしていくということですね。
実際のお客様のニーズは、人手翻訳くらい正確なものがいいというレベルから、
内容さえ把握できれば正確さは問わないというものまで様々なため、
各要望に対応しながら仕事をしていく必要があると思っています。
例えば、一般の人の目に触れるニュースや政府機関に提出する書類は一から翻訳者が正確に訳し、
どこにも出さずに会社内のみで扱うデータや報告書は機械翻訳を使って訳すなど、要望に合わせて対応していきます。
機械翻訳を使えば量をこなすこともできるため、料金を下げて早く提出することもできますね。
また、ここまでは機械翻訳の使い方のような観点からお話してきましたが、
機械翻訳が浸透してもやはり人手翻訳には代えられないケースがいくつかあります。
例えば、原文(元の言語の文章)が不明瞭だと機械翻訳による訳文は不正確に出力されるため、
プレゼン資料などのように主語が省略されていたりやや口語的な表現が混じっていたりすると、
人間の翻訳者が必要になります。
また、 特許や契約書などの法律文書は人や会社の利害に直接影響を及ぼすため、
機械翻訳を使ったとしてもその後人によるチェックがマストです。
更に、ジャーナルの冒頭で言及した映像翻訳や出版翻訳においては、翻訳者の感性や文才が求められます。
文の受け手が人である限り、人の感情に訴えかける芸術の翻訳は機械よりも人間の方が豊かになると言えるでしょう。
AI や深層学習の発達と共に淘汰されていく職業は翻訳者に限ったことではありません。
大手銀行も採用人数を大幅に減らしていますし、高齢化社会で不足すると言われている医師ですら
診察や手術用のロボットが普及すると需要が減る可能性があるそうです。
こうした時代や業界のトレンドの変化についていくことはどの仕事でも求められることです。
どのような業界に入り、どのような職業に就いても、
時代の変化に適応しながら「安く・早く・上手く・新しい」商品を提供し続けられる人材になれたら良いですね。
今日は翻訳に重点を置いてジャーナルを書きましたが、通訳についても近日中にお伝えできたら良いなと思っています!
質問などがあればいつでも聞いてくださいね。
Have a lovely day💖
✨瀬戸・志段味の英語と英語でプログラミング教室MIRAI Labo.✨